カメラ camera 2000 6分
主演:Leslie Carlson 撮影:André Pienaar 音楽:Howard Shore 編集:Ronald Sanders 美術:Carol Spier 衣装:Denise Cronenberg 衣装監修:Caitlin Cronenberg
特別上映、映画館、DVD等で何度もみた短編映画だが、2024年日本版の「クラッシュ」4KHDRで見直した時には前半のビデオカメラの映像部分と後半のフィルム撮りのコントラストに驚いて、印象が変わってしまった。老俳優(カールセン)独白の中、フィルム撮影の準備をいかにもプロフェッショナルな雰囲気でテキパキとこなす子供たちの様子がビデオ撮りの映像でいったん描写され、すべての準備が整ったところでフィルムのパキっとした「映画」の映像になり短編冒頭の老俳優のセリフが再び繰り返される…。いままでは、単に「映画が生まれる瞬間」をユーモラスに描いたのかとばかり思っていたが、いまやすっかり映画がデジタル化されてしまった2024年にこの短編を観ると、対照的に描写される画質は「ビデオとフィルム」ではなく「SDからHD(4K)」といった風に解釈が変わり、「老俳優とこども」は、「古い製作手段に慣れたスタッフと最新テクノロジーを使いこなす若いスタッフ」の対比のようにみえてしまったのだ。そうなると、レスリー・カールセンの演技が余計にエモーショナルに感じてしまう。老俳優にとっては、こどもにしかみえない(!)プロフェッショナルのスタッフに囲まれて昔とおなじ仕事をまったく違うテクノロジーの元でこなしているのだ。実際、自分が歳とってしまったことも影響大かも。 2024/11/4 記
(※)2000年 公開前のメモ
★2000年公開予定?オリジナル脚本・監督作品はCamera?
2000/11/30付けIMDBによると監督兼脚本の次回作は「Camwraキャメラ」
出演は、ヴィデオドロームのコンヴェックスを演じたLeslie Carlson。Daniel Magder(Xメン)。ほかの出演者は不明。
Produced by Niv Fichman (初参加:eXistenZのDon McKellarの監督作プロデュース暦あり)以下、いつもの人々。音楽は Howard Shore、編集は Ronald Sanders、美術は Carol Spier。ストーリーは不明です。ホントに2000年中に公開されるのでしょうか?もう1ヶ月も無いのに…
と…良く見たら「短編short」!?の表記が!どういうこと???
もうひとつ2001年制作予定で「Basic Instinct 2」ってのがありますが、大勢の監督依頼先の一人にすぎないでしょう。監督が「氷の微笑」の続編に興味があるとはとても想像できん。(2000/12/02 記)
(1)2001/4
カナダ映画祭2001 2001年4月24日~30日
赤坂国際記念フォーラム アニメ・短編Bプログラムにて「camera」上映
4月27日(金)14:00~
前売り1回券 \1,000
フィルムにて上映/字幕無し
(1)クローネンバーグのカメラ
(2)ブリー・ダンス(アニメ)
(3)巣穴戦争(アニメ)
…
『クローネンバーグのCamera』 Camera
監督;デビッド・クローネンバーグ(2000年/6分/実写短編)
『クローネンバーグのCamera』 Camera
監督;デビッド・クローネンバーグ(2000年/6分/実写短編)
<あらすじ>
年老いた俳優の家に、何処からか見つけてきた古いカメラを持ち込む子供達。
老俳優は楽しそうに撮影準備をする子供達を見ながら、カメラに向かって心情を語り始める。俳優として旬が過ぎた今、カメラと自分、時間、死とは何か。
死が全てにおいて関係していることは、俳優にとっては特に現実的な問題である。子供達が家の中にカメラを持ちこんで、この瞬間を撮影されるのはいい気がしない。この「時」を撮るということは、死を撮るとこ。子供と死との組み合わせが不安にさせる。だが、楽しそうな子供達を見ていると,カメラを家から出してくれとは言えない.でも,そんな古いカメラにふと同情を感じた.僕もカメラも一緒に年を重ねているんだ。まるで長年連れ添った夫婦のように・・・。悲しくなってくる。結局は、子供達は楽しそうで、これらの事がピュアで純粋である限りピュアで純粋なのだろう。
子供達が撮影を開始する。老俳優は語り始める。
当日配られたコピー資料より引用
■完全ネタバレ感想文
というわけで、ビデオドロームのコンヴェックスでおなじみレスリー・カールソンが、全編カメラに向かって語りつづける構成のため、ヒアリング能力が甘い私は、あっという間に呼吸困難に…あらかじめ配られた日本語の資料を頼りに、なんとか6分間を生き長らえた。
…というのは大げさだが、たった6分間なのに字幕がないとつらかったのは正直なところ…。6分の映像中、90%近くは映画の撮影準備中に、カールソンがカメラに向かって語る独白?といった印象である。準備をするのが、てきぱきとした「子供」ばかりではあるのだが…。で、子供たちによって準備万端となった最後、ハワード・ショアのサントラ!がついて、あらためて「冒頭のセリフ」がそのまま繰り返され、映画は終わる。
一見、リアルな独白に見えた俳優の告白が、実はまんま「セリフ」だった…というオチになるのだろうが、独白しているのがそもそも俳優の設定だから、「セリフ」はただ繰り返されただけで、俳優本人の「本心」なのか「単なるセリフ」なのか、わからない!ところがミソなのだろう。
なんとなく「eXistenZ」を連想したが、「camera」は、クローネンバーグの「映画」に関する小論なのだろう、と素直に感じた。
いつか、ちゃんと字幕つきで見たい。
(2001/05/04:記)
(2)
その後、「ショート6」のタイトルで劇場公開後、DVDでも発売済み。(2003/01/13:記)
2001年11月劇場公開 配給:ギャガ・コミュニケーションズ。
2002/6/5 DVD発売 販売元 : エイベックス・トラックス
「四つの部屋と六人の打楽器奏者のための音楽」
「鬘(かつら)職人の日記」
「メンバー」
「camera」
「キラー・ビーン2」
「WAVE TWISTERS」
以上、6作品。
(3)
「VIDEODROME the criterion collection」(2004/8/31発売)におまけで収録。その後発売のBlu-ray(2010/12/07発売)、4KHDR版(2023/10/10発売)にも同様に収録。
Arrow Film版にも収録。Blu-ray&DVD(2015/8/18発売)4KHDR版(2022/10/25発売)。
「CRASH クラッシュ 4K 無修正版 3枚組(日本版)」 (2021/10/8発売)にも収録。