VIDEODROME: long version

VIDEODROME: A SHOCKING NEW VISION Bootleg(海賊版情報)

アメリカでのケーブルTV放送時に再編集されたものを録画した通常(87分)より長いバージョン(103分)のものが存在するらしい。

某SNSにて oni6さん情報。ありがとうございます。

劇場版との相違点は、

1.映画の始まりは登場人物達が描かれた絵画のアップで始まる。
2.冒頭での寝起きのマックスのシーンが長い。
3.ヒロシマビデオの日本人のシーンで、マックスがみんなと酒を飲んだりするのでちょっと長い。
4.マーシャおばさんとのエロビデオ商談の前置きが長い。
5.ブラウン管伝道教会を初めて訪問した際、マックスは係員のおばちゃんにホームレスと間違われて食事を勧められたりするので長い。
6.ビアンカから最初に渡されたテープに出てくるオブリヴィアン教授の話がちょっと違って、TVモニターにマックスが写りこんだりする。
7.電話がかかってきてスペクタキュラー・オプティカル(眼鏡屋)に向かうマックスだが、自室のTVモニターにニッキが写って「おいでよ。」と言い、その後オブリヴィアン教授が写って「行って損はない。」と言う。
8.眼鏡屋に向かう車の中にはニッキが居て、モニターに写ったビデオドロームを見ながらキスシーン。(つまりコンベックスがミサイル輸出もしている眼鏡屋だという説明シーンは削除)
9.眼鏡屋に到着したマックスはメガネをかけて遊んでいるとコンベックスが出てきて「こっちのメガネのほうが似合うよ」と言うので長い。
10.コンベックスに幻覚記録ヘッドセットを試されるマックスだが、その前にコンベックスによる(軍事産業もやってる眼鏡屋だという)自己紹介があるので長い。
11.ハーランに会いに事務所に戻るマックスだが、ビルのウィンドウを見るとヘッドセットを被った自分が映り込んでいる。
12.コンベックスのいる新作眼鏡発表会に到着するマックスのシーンが長い。
13.廃船にたどり着くまでに道路を歩いたりするマックスのシーンが長い。
14.そしてまた絵画のアップのエンディング。

という、たいへんめずらしいバージョン。

本編ではカットされた冒頭と結末の絵画は、オリジナル予告篇で使用されていたイラストを描いた人。


以下、oni6氏のまとめに沿って、再確認。通常DVD版と、 ロング・バージョン「長尺版」の相違点をレポート。

参考までに
米国版チャプター・タイトル
も併記。

 


 

1.Main Title :タイトル

長尺版は、ふしぎなイラストのアップで始まる。実は、映画の主要人物が描かれた大きな1枚の「絵」なのだが、全体の右上に位置する雲のどアップからスタートするので、最初は何が描かれているのかわからない。


 

2.Main Title (2) :タイトル

カメラはゆっくりと移動しながら、描かれた各キャラを映す。最後は大きくカメラがひかれて絵の全体がわかる。タイトルやキャストのテロップは通常版のものを使用しているようだ。監督クレジット。


 

2.Main Title (3) :冒頭シーン

冒頭寝起きマックスのシーンが少し長めに編集されている。

 


 

3.Samrai Dreams :サムライ・ドリームス

ヒロシマビデオの交渉シーン。マックスと業者のやりとりで追加カット少々。通常版では、まるで用心棒に見える日本人業者のひとりが、ビデオをデッキにセットするカットがある。エロ業者のあやしい日本人の名前はヒロ・ナカムラ。


 

4.Looking for the Contemporary :今風のヤツを探してるんだ!

マーシャおばさんとのエロビデオ商談前に、二人のやりとりが追加されている。

 


 

5.The Cathode Ray Mission :カソードレイ・ミッション

カソードレイ・ミッションで、マックスはおばちゃんにスープをすすめられる。おばちゃんに「チャンネル83を見てもいいかい?」と、さりげなく自局に言及している。


 

5.The Cathode Ray Mission (2)

おばちゃんのリアクションは、後年のeXistenZに登場するキャラクターを連想させる。通常版ではおばさんとマックスの会話シーンはカットされたが、マックスが退散後にかわされるビアンカとおばちゃんの会話シーンは残っている。


 

6.The Battle for the Mind

ビアンカからマックス宛にビデオテープが送られてくる。再生すると、ビデオドロームを解説するオブリヴィヨン教授の映像。マックスに語りかける教授。すると、テレビには今まさにソファに座るマックスの映像が教授の映像とカットバックで挿入される。シンプルで幻覚度の高いシーン。


 

7.Barry Convex

通常版では直接コンベックス本人から電話がかかってくる。が、長尺版では電話の相手はニッキーだった。このシーンからマックスがヘッドセットでモニターされるまで、脚本の流れがまったく違う。


 

7.Barry Convex (2)

長尺版:ニッキーは、マックスが住むマンション(コンドミニアム)の階下で待っていると告げる。

 


 

7.Barry Convex (3)

予想外の展開にマックスが躊躇していると、モニターにオブリヴィヨン教授が現われ行ったほうがいいとけしかける。

 


 

8.Barry Convex (4)

車で、ニッキーから奇怪な近況を聞かされる。マックスの目には、車載モニターにビデオドロームの拷問ルーム映像が見える。ニッキーからキスをせがまれるも、どうにも気がのらないマックス。



 

8.Barry Convex (5)

眼鏡屋についたマックスとコンベックスのやりとり。

 


 

8.Barry Convex (6)

通常版でのやりとりが少しだけ延長されたあと、コンベックスがマックスに自ら会社の説明をするシーンが入る。


 

9.10.Barry Convex (7)

長尺版:幻覚じみたニッキーとの再会、眼鏡屋到着、コンベックスの説明、ヘッドセット。と、幻覚と現実の境目が非常にあいまいなままドラマは進む。
通常版:車内ビデオによるコンベックスの説明、眼鏡屋到着、コンベックスと対面、ヘッドセット…ほぼ現実的な描写でドラマはすすむためテンポもスムーズ。


 

11.Harlan Confesses

勤務先へ戻る路上、会社の窓に映るのはヘッドセットを被ったままの自分の姿。

 


 

11.Harlan Confesses (2)

困惑するマックス。
通常版は、別テイクと編集作業を駆使して長尺版よりもずっと(いちどは撮影していた)マックスの幻覚描写を抑制しているのがわかる。


 

12.Following Orders

新作眼鏡発表会に到着するまで編集がちょっと違う。微妙に追加カットあり。

 


 

13.The Visitation

廃船にたどり着くまでに、マックスが移動するカットが追加されている。
ちょっとタクシードライバーっぽい。


 


 

14.End Titles

エンディングは、冒頭絵画の各キャラクターカットに其々劇中での印象的なセリフがかぶさる。オブリヴィヨン教授。

 


 

14.End Titles (2)

マックス

 


 

14.End Titles (3)

コンベックス

 


 

14.End Titles (4)

ハーラン

 


 

14.End Titles (5)

マーシャ

 


 

14.End Titles (6)

ニッキー
I want you Max, you…

 


 

※本編終了直後とスタッフ・テロップの合間、まさに一瞬だが謎の手書きテロップが挿入されていた。ケーブルテレビで特別放送された際CMをカットして家庭用ビデオにまとめた当人のものと推察される。その後なんらかの事情で、その家庭用ビデオをマスターにした謎の販売ルートが、さらにそれらしいジャケットを加えたうえで一部市場へ流出させたようだ。作業がピッツバーグで行われたかどうかは不明。(某氏談)


 

※おそらくCMの前後なのであろうが、「A&E」のロゴがテロップで挿入されている。
※長尺版には、おまけ映像としてマックスが車載モニターでコンベックスの映像を見る通常版該当シーンも収録されている。
※「ザ・フライ」「戦慄の絆」「ヒストリー・オブ・バイオレンス」、どの作品でもクローネンバーグは撮影現場で苦労して撮ったであろう「幻想的なシーン」を何箇所かカットしている。


 

通常版 1.85 : 1
長尺版 4 : 3

撮影は35mm。

長尺版(テレビ)も通常版(劇場公開)、どちらもオリジナル素材からTV用、劇場用にトリミングされていることがよくわかる。

2007/07/28:記

2024/09/13:再録

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