デッド・ゾーン THE DEAD ZONE
新潮文庫 上下巻
スティーヴン・キング
訳:吉野 美恵子
1987/5/1発売 定価480円
映画は「デッドゾーン」、原作は「デッド・ゾーン」表記。原作は文庫で上下巻あり、群像劇。主役のジョン・スミス以外の登場人物も詳しく描写され、登場人物も多い。原作と映画で一番違うと感じたのは、主人公の超能力描写だ。映画では「握手」でしか相手の過去や未来を知ることができない。犯行現場に落ちていた物証からは何も感じとれないシーンがある。原作は映画と違い、人間との握手だけが必須ではない。ただの物体からでも情報を得られる。原作と映画の「超能力」に対する設定の違いは、ドラマをタイトにきりつめるのに役立っただけでなく、物語が「握手」によって進行する印象的な「絵」を生み、ご都合主義にみえかねない「超能力」に限界があることをビジュアルで説明した。おかげでして説得力も加わった気がする。
映画がヒットしたこともあり、2002年~2007年にTVシリーズ化(6シーズン、80話)されたが、ストーリーは未完のまま打ち切られた。TVシリーズの邦題は原作とおなじ「デッド・ゾーン」。
邦題の中黒ネタは日本ローカル情報なので、ジョンとジョニー表記よりも意味は薄い気もするが、タイトルの意味としてはワンワードの「デッドゾーン」のほうが特殊な意味を含むような気がしていいのではなかろうか。ユーロスペースの担当者の人もそう思ったのでは?どこかでそんなことを読んだ気もするが、ビデオドローム信号がそうささやいただけかもしれない。
※198?年ビデオリリース時(発売:東北新社、販売:東映 ¥16800)のジャケット表記は「クローネンバーグのデッド・ゾーン」だった。1991年LD(発売:東北新社、販売:キングレコード)は「デッドゾーン」。てことは、1985年の映画祭公開時は中黒トルツメの「デッドゾーン」。ビデオ裏面には「ザ・フライ」の~と表現があるので、「ザ・フライ」が日本公開された1987年1月以降に発売されていたものになるが、そうなると中黒なしで1985年に映画祭で公開され、ビデオは原作本と同じ「デッド・ゾーン」、ユーロスペースでは「デッドゾーン」で一般公開され、しばらく後に映画は中黒なしの「デッドゾーン」で表記されるようになった。…のかもしれない。ややこしいけど。ビデオ・レンタル全盛期には各社サブタイつけたり、微妙に改題したりするのはありがちなことだったので、追及しても無意味なネタに違いない!
2024/12/5:追記