THE NAKED LUNCH ウィリアム・バロウズ
訳:鮎川信夫
河出書房新社 定価1800円
1987年2月20日 初版
「アメリカ人は自分が手を出すのをやめて、
勝手にどうにでもなるように物事をほっとくのが非常にきらいだ。
彼らは自分で自分の胃の中に飛び込んで食物を消化し、
糞をシャベルでほじくり出したがる。」
303-304ページ
「こん畜生、ごみくずじゃないか。
このずるい野郎を台所の流し汁といっしょに煮てしまえ!」
210ページ
看護婦「先生、死んだようです」
ベンウェイ医師「ではこれで今日の仕事は終わりだ」
83ページ
それなりに面白い、ヤク中の繰言。が、人間バロウズに対する興味を前提にした上でさらに努力を必要とする。コレ以上は無理だと一目でわかる溢れかえった屋外トイレの糞の山のてっぺんへ笑いながら小便で落書きするくらいの努力が必要。心の広さと教養?が必要。ある人間には軽く笑えるギャグでも、別な人間には常軌を逸した変態行為に見えることもあるだろう。ベンウェイ医師にとっての軽い診断が、別の誰かにはとんでもない断罪と化すのと同様に。
数年ぶりに飛ばし読みしたが、よりによってどうしてこれを「映画化」しようと思ったのか、ほとほと感動する。完成した映画は、ほぼ原作無視といっていいほどバロウズの他作品も闇鍋にしたような豪快なものになっていたが、要は「裸のランチ」を書きあげようとするバロウズを描いていた。
「おかま」と「内なるネコ」も読んだ気がするが、みあたらない。図書館だったのか?書店で斜め読みしただけだったのか?「デッド・ロード」と「ウェスタン・ランド」は途中で挫折したはず。「シティーズ・オブ・ザ・レッド・ナイト」も買った気がするけど…「おぼえていないときもある」。「ブレードランナー」は図書館で借りた。「麻薬書簡」はギンズバーグとの往復書簡だが、これがいちばんおもしろかった気がする。
カート・コバーンとつくった「 the “Priest” they called him」や、朗読CDがどこかに埋もれているはず。バロウズ翁はいい声してるのだ。