2006年01月02日:記
2006年3月ロードショー公開予定の映画「ヒストリー・オブ・バイオレンス」を2005年12月試写会で見る機会があった。それ以来、クローネンバーグの映画はなぜいつも既視感を感じるのか、つらつら考えてみた。いつものことなんだけれども。
で、思いついたのが「ヒストリー・オブ・クローネンバーグ」だ。ストーリーは「ヒストリー・オブ・バイオレンス」のままキャラクターだけ過去の映画の登場人物に変えてみた。
So I came up with “History of Cronenberg”. I kept the story-line of “History of Violence” and changed only the characters to those from past movies.
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主人公は、ジョニー・スミス(ブランドル・フライ)。米国中西部のとある小さな町の小さなダイナーで働くジョニーは、嫁サラ、息子スパイダー、娘キャンディスと平和に暮らしていた。が・・・
One day, Johnny’s diner is attacked by two robbers. Johnny turns the robbers away.
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注1) 主人公はDEAD ZONEのジョニー・スミスである。ジョニー・スミスは、学校の教師だったが、交通事故で昏睡状態後超能力を得、結果として暗殺者となる。
主人公の正体は、THE FLYのブランドル・フライでもある。ブランドル・フライは、企業に雇われた科学者だったが、転送実験の失敗で混乱状態後超能力を得、結果として人類超克者と化したのだ。
注2) ダイナーのカウンターに座るのはマグワンプ(大立者)である。彼の言葉に嘘はないが、本気にすると碌なことにはならない。
注3) 強盗2人組はeXistenZのパイクルとアレグラである。二人はゲーム中である。ゲームなので、勝つためには子供を撃つ事も躊躇しないだろう。
2/4p
Johnny, the town’s hero, is visited by the mafia’s Gallimard.
Who the hell are you? Your name is Beverly. Beverly, is your daughter safe? Hearing Gallimard’s creepy threats, Johnny runs home.
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注4) ガリマール(M.バタフライ)は、外交官である。ブランドル・フライは、人類史上初の、昆虫と人類の間をとりもつ外交官である。
注5) ビバリーとエリオットは双子の産婦人科医だ(DEAD RINGERS)。ビバリーはやさしい。エリオットはつよい。二人でひとりだが、やはり一人はひとり。
注6) 「あなたはいったい何者なの?」クローネンバーグの主人公たるもの、一度は誰かしらに言われてるっぽいセリフである。
注7) 相手の顔が見えない電話を使った脅迫は、たいていバレバレも同然であるケースが多い・・・気がしないでもない。
注8) 娘はThe Broodのキャラだが、The Broodでも父が何かよくないことが起こったであろう現場へ、息をきらしながら走るシーンがあった。
3/4p
A message from your brother Elliot. Garimar, the assassin, fell to a bullet fired by Johnny’s son Spider.
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注9) 絶体絶命のピンチを救ったのは、息子スパイダーの銃弾だった。いつのまにか息子が父を継いでしまっていることは、日常生活でもまま見られる現象だ。身近な近親者から、継ぎたくもないものを継がされてしまうテーマは、The Brood でも、冷たく描写されている。
4/4p
When his true identity is revealed, Johnny confronts his brother Elliot as Beverly. After defeating his brother, Beverly returns home to his family.
THE END
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注10) ビバリーとエリオットの兄弟対決パターンは、やはりスキャナーズのバトル・シーンを連想せずにはおれない。一瞬どっちがどっちだかわからなくなるという描写は、クローネンバーグが描く「対決」に必ずみられる特徴だ。ヒストリー・オブ・バイオレンスも例外ではない。
※ほんとは、SHIVERSやRABID、CRASHなんかのキャラもからめたかったが、自ら課した「4ページ」という制限上、割愛せざるを得なかった。
I really wanted to include characters like SHIVERS, RABID, and CRASH, but I had to omit them due to the “four-page” limit I imposed on myself.
2024/12/9:再録