A Most Dangerous Method: The Story of Jung, Freud, and Sabina Spielrein
John Kerr Hardcover
Alfred a Knopf Inc, 1993/08/24
A Most Dangerous Method: The Story of Jung, Freud & Sabina Spielrein
John Kerr 624 pages, Paperback
Vintage Books, 2011/02/23
ザビーナ・シュピールラインの悲劇
フロイトとユング,スターリンとヒトラーのはざまで
ザビーネ・リッヒェベッヒャー 著 、田中ひかる:訳
岩波書店, 2009/10/29 四六・上製・カバー・474頁 定価 5,500円
ユングの患者にして恋人、またすぐれた精神分析家でありながら、独軍に虐殺されたシュピールラインの生涯。
映画はユング、フロイト、ザビーナ3人の関係決裂までを描くが、映画以降のザビーナの生涯は岩波書店「ザビーナ・シュピールラインの悲劇」に詳しい。
フロイト、ユングはともかく、ザビーナに関しては映画を知るまでは何も知らなかった。過去作の中でも史実ベースとしては、最も手間暇かけて映像化に挑戦した新境地開拓。時代設定や当時の風俗等、史実に間違いのないよう丁寧に映像化を心掛けていたことは、メイキングやインタビューでもたびたび言及されている。CASTをみても、当時の学会の実在の人物(医師関係)や、フロイトやユングのこどもらたちのようなセリフのない役も、実在の人物ベースできっちり役がふられている。
「裸のランチ」「Mバタフライ」「コズモポリス」等とはまったくアプローチの違う「映画」なのにいつものクローネンバーグ監督作。孤独に悩むいつもの主人公なら、SFだろうが怪作だろうが、生真面目な史実映画であっても平常運転なのだった。