
「バーニーズ・バージョン ローマと共に」
2010年/134分/カナダ・イタリア合作
配給・発売元:エプコット 劇場公開:2013/1/19
結婚、結婚、また結婚。バーニーの場合(Berney’s Version)、自分の結婚式で真実の愛に出会った!
ダスティン・ホフマン×ポール・ジアマッティ(ノミネート)アカデミー俳優が贈るロマンチック・コメディ!
何人と結婚できるかが勝負だ

ポール・ジアマッティが演じる主人公はユダヤ系のTVプロデューサー、バーニー・パノフスキー(Barney Panofsky)。若い時にイタリアで最初の結婚。二度目はほぼヤケくそのように大金持ちの娘と、3人目がロザムンド・パイクというわけで、たしかに3度結婚する話だが、日本版ポスターのど真ん中に位置するキャッチ「何人と結婚できるかが勝負だ」みたいな話ではない。そもそも、そんなセリフあったか?宣伝部が悩みに悩んだ末にでっちあげた苦肉の策だろうが、かといって本筋であるバーニー(ポール・ジアマッティ)の人生がどうのこうのでは宣伝しづらいのもわかる。イタリア放蕩時からの友人ブーギー(スコット・スピードマン)とのエピソードはドラマを構成する重要な軸のひとつだが、元警官の父親(ダスティン・ホフマン)とのエピソードのほうがまあわかりやすいのは確か。映画冒頭でいきなり主人公のクズっぷりが披露されるのは、ポール・ジアマッティ好きならその後の二転三転の展開も期待通りなので問題なし。ブラック・コメディというより、Quirky Comedy、オフビート・コメディといった風。ほんのすこしドラマチックな一人の男の人生譚。インテリ女が好きなちょっとばかり一途なおっさんに秘められた謎。見方によってはちょっとしたサスペンスも味わえる良作。
クローネンバーグは、バーニーが働くTV局の昼メロ監督。ポール・ジアマッティとやりとりするセリフもある。初見時には変な帽子のせいか、まったく気がつかなかった。ほかにもアトム・エゴヤン、テッド・コッチェフ(電車の車掌役)らも出演していた。クレジットで驚くパターン。ロザムンド・パイクは「ゴーン・ガール」とは別人でチャーミング。ダスティン・ホフマンも要所要所でからんでくるので楽しい。
原作のモルデカイ・リッチラーは、カナダ人。モントリオールのユダヤ人社会を舞台にした小説が多く「バーニーズ・バージョン」も代表作のひとつ。プロデューサーRobert Lantos(ハンガリー、ブダペスト生まれ)は、おなじみSerendipityの社長。ポール・ジアマッティはその後「コズモポリス(2012)」、スコット・スピードマンは「クライムズ・オブ・ザ・フューチャー(2022)」に出演。