ずいぶんまえに雑誌の連載で、どうなるんだろうと思ったあの事件が、いつのまにやら文庫に…。「鉄槌!」というタイトルで本屋に平積みされていた。
いしかわじゅんといえば、あのころはあじましでおと、SFギャグマンガ界のリトル・メジャーとビッグ・マイナーの名を賭けて激しい闘いをくりひろげていたことを記憶する人も多かろう。当時は、ビッグ・マイナーの尊称を欲しいままにした天才あづまの前において、いしかわはむしろしがない傍流ギャグ・マンガ家だったと記憶する。が、21世紀を過ぎた今現在、ノンフィクションの好ルポ(ほんとに面白い)「鉄槌!」の著者というだけでなく、NHKの若向け深夜オタTVで、マンガ界の権威然と和服で腕を組むいしかわの勇姿の前に、もはや行方不明と突然復活を不定期に繰り返す、アル中の流浪マンガ家 あじま の立つ瀬はない。しかし、作品として後世に残るのは、間違いなく吾妻ひでおの方だろう。人生とは残酷かつ無常なものである。