吾妻ひでお イースト・プレス 1140円+税
2005/3/8 第1刷発行
「夜を歩く」「街を歩く」「アル中病棟」
たけくまメモで、売り切れ続出なんてあおるもんだから、会社帰りに本屋へすっとんでいきましたよ。渋谷駅某店には、ちゃっかり平積みされてました。もちろん即買い。
一ファンとして、なんか感慨深いものがあります。
コミケ初期の「ミャアちゃん写真集」とかリアルタイムだもんな。
「不条理日記」が大好きで、当事はおれもSFファンだったから、いしかわじゅんよりも圧倒的に好きでした。SF大会ネタや、ビッグ・マイナーのあじまに、リトル・メジャーいしかわという対比は、今も本質突いてアレです。いしかわ先生がノン・フィクションとして「鉄槌!」をものした一方、天才あじまは「失踪日記」ですからね。一貫してあじまファンである、俗物のおれなんか、いしかわ先生が、「ああ、おれは一生あじまには勝てんな・・・」と、静かに歯軋りしてることを想像したりしてしまいますが、おそらく天才あじまからすれば、そんなことはカケラも思ってないことでしょう。
偉人だ。文学です。
それにしても、失踪中の「コジキ」生活といい、「ガス業界」生活といい、果ては「病院」生活まで、もうなんつうか一気に読まざるを得ないもうまさに名作。天才あじまも好きなSF作家ディックも悔しがるんじゃないかというおもしろさ。
ほんとに悲惨なことは描いてないらしいですが、もうすごいです。
実は、私は某大学4回生のときに、ゼミでプロパン・ガス業界のこと勉強したことや、数年前の新宿某飲み屋で「配管」の事務をやってた女の子といろんな配管の話をしたこと・・とか、限りなく透明にかすりまくりな凡庸な過去の数々を思い出しながら、あじま先生があんなことやこんなことをしてたときには、おれはあんなことやこんんなことをしてたりしてたわけか・・・
などとつまらないことを連想しながら、気がつくと一気に読んでました。
すげえや。