高度な電脳空間が日常と化している
ハードなSF設定をベースに、
こどもから大人への成長という普遍的なテーマを
少女2人をメイン・キャラにして
しごく真っ当なストーリーを
最初から最後まできっちり描ききった
傑作アニメ。
作品のテーマは
電脳と現実の二元論ではない。
多くの傑作SFがそうであったように、
すこし風変わりな世界で生活する
ごく普通に悩み苦しむ人間の姿こそがテーマだ。
★★★★★
すばらしい。よくぞ90分にまとめた(つД`)・゜・。
こうしてみると本筋があらためてよくわかる。
ヤサコ~デンスケ
イサコ~4423
ハラケン~カンナ
3組の関係を中心に「電脳コイル」というSF設定がみごとに機能している。
テーマは「仮想と現実」なんかではない。「別れ」だ。イサコとハラケンの物語は、ヤサコとデンスケの物語の変奏曲でもある。
90分版前半の山場となるハラケン救出作戦が、後半のイサコ救出作戦へごく自然につながっている。ハラケンを助けるためにイサコがヤサコに渡した暗号が、後にイサコを助けるヤサコにつながる伏線がいい。
「電脳コイル」というSF設定の重要人物である おじじ が二人の少女を結びつけていたわけで、この関係性そのものも重要だ。ここらへんセリフでちっとも補足しないあたりにスタッフの繊細かつ確固たる自信がちょっぴり想像できるw
ヤサコ~デンスケ~おじじ~4423~イサコ
4423衝撃の事実が判明後、イサコの目的が4423探しからデンスケ救助に変わっていることも90分版だとよくわかる。ヤサコ視点だと、ミチコ誕生の理由はちょっとおセンチになってしまうわけだが、「わたしに生き残る方法を教えてくれたのはソウスケ」というミチコ自身の証言を忘れてはならない。客観的にみればおじじによるイサコ治療という最新医療行為が、未成熟技術ゆえのトラブル(おじじの死、ミチコの誕生)に加え、ヤサコの闖入という予想外の偶然でさらなるねじれを生じ、そのうえソウスケの復讐という悪意が加わってしまったことによって「古い空間」が暴走していたわけだが、SF設定がちゃんとキャラの行動原理とも密接にからんでいるところが、いちいちすばらしい!
メガばあ「これを見い、患者の名前を!」あたりの演出箇所は、なんど見ても鳥肌モノのサスペンスw
ああ、何度みてもおもしろい。
以下 総まとめ
メイン・プロット(成長ものがたり)
痛みを感じる方向に!人は細い道できっとつながっている。
別れ(死)をうけとめ、毎日を更新し続ける前向きな2人の少女の話。
サブ・プロット(SF設定)
コイルス社の某主任技師が、量子回路のある特殊な基板パターンがかつてない高性能なアンテナになることを発見。かくして微弱な電磁波をベースにした電脳メガネ&革命的な通信インフラが実現。コイルス社はメガネを量産、会社も急成長。ところが回路は、電磁波以外の「なにか」も受信していた!
「人間の意識」と思われるその「なにか」を、技師は「イマーゴ」と名づけ実験を継続。「イマーゴ」を組み入れた「電脳コイル」システムを構築し、電脳医療の開発にまで応用する。が「イマーゴ」には意外な落とし穴があったため実験は中止、技術は封印され、コイルス社はメガマス社に買収されてしまった。
イマーゴ・システムの破棄により電脳技師猫目の父は失踪。それを逆恨みした息子ソウスケは、「イマーゴ」のトラブルを証明暴露するためにイサコを利用していたのだ。が、猫目ソウスケもまたイマーゴ・システムの再利用を狙う旧コイルス一派に利用されているのだった…。
ああ、泣ける。なんど見ても泣けるwww
つかいったん見出すと早送りできないw