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ヒストリー・オブ・クローネンバーグ

[ 2005 A History of Violence ]

2006年3月ロードショー公開予定の映画
ヒストリー・オブ・バイオレンス
を2005年12月試写会で見る機会があった。
それ以来、クローネンバーグの映画はなぜいつも既視感を感じるのか、つらつら考えてみた。
いつものことなんだけれども。

で、思いついたのが「ヒストリー・オブ・クローネンバーグ」だ。
ストーリーは「ヒストリー・オブ・バイオレンス」のまま
キャラクターだけ過去の映画の登場人物に変えてみた。

★ 注 意 ★
以下、映画「ヒストリー・オブ・バイオレンス」のほぼ完全ネタバレです。すでに映画をご覧の方、およびストーリーが推察できても問題ない!という方のみごらんください。

主人公は、ジョニー・スミス(ブランドル・フライ)。
米国中西部のとある小さな町の小さなダイナーで
働くジョニーは、嫁サラ、息子スパイダー、娘キャンディスと
平和に暮らしていた。

が・・・


注1) 主人公はDEAD ZONEのジョニー・スミスである。ジョニー・スミスは、学校の教師だったが、交通事故で昏睡状態後超能力を得、結果として暗殺者となる。
主人公は、THE FLYのブランドル・フライでもある。ブランドル・フライは、企業に雇われた科学者だったが、転送実験の失敗で混乱状態後超能力を得、結果として人類超克者と化す。

注2) ダイナーのカウンターに座るのはマグワンプ(大立者)である。彼の言葉に嘘はないが、本気にすると碌なことにはならない。

注3) 強盗2人組はeXistenZのパイクルとアレグラである。二人はゲーム中である。ゲームなので、勝つためには子供を撃つ事も躊躇しないだろう。

注4) ガリマール(M.バタフライ)は、外交官である。ブランドル・フライは、人類史上初の、昆虫と人類の間をとりもつ外交官である。

注5) ビバリーとエリオットは双子の産婦人科医だ(DEAD RINGERS)。ビバリーはやさしい。エリオットはつよい。二人でひとりだが、やはり一人はひとり。

注6) 「あなたはいったい何者なの?」クローネンバーグの主人公たるもの、一度は誰かしらに言われてるっぽいセリフである。

注7) 相手の顔が見えない電話を使った脅迫は、たいていバレバレも同然であるケースが多い・・・気がしないでもない。

注8) 娘はThe Broodのキャラだが、The Broodでも父が何かよくないことが起こったであろう現場へ、息をきらしながら走るシーンがあった。

注9) 絶体絶命のピンチを救ったのは、息子スパイダーの銃弾だった。いつのまにか息子が父を継いでしまっていることは、日常生活でもまま見られる現象だ。身近な近親者から、継ぎたくもないものを継がされてしまうテーマは、The Brood でも、冷たく描写されている。

注10) ビバリーとエリオットの兄弟対決パターンは、やはりスキャナーズのバトル・シーンを連想せずにはおれない。一瞬どっちがどっちだかわからなくなるという描写は、クローネンバーグが描く「対決」に必ずみられる特徴だ。ヒストリー・オブ・バイオレンスも例外ではない。

※ほんとは、SHIVERSRABID、CRASHなんかのキャラもからめたかったが、
自ら課した「4ページ」という制限上、割愛せざるを得なかった。

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2006年01月02日 12:49に投稿されたエントリーのページです。

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