何の予備知識も無しで、
本を1冊楽しむことができるだろうか?

難問である。


知識欲。欲望は時に衝動となる。フィクション、ノン・フィクションを問わず、本を読む動機の大きなひとつだ。知識欲などと表現すると一見偉そうに聞こえるが、早い話、知らない話を知りたい!というヤジ馬根性である。

「何の予備知識も無い」ってことは、単純に「驚かされる確率が高い」ってことだ。

んが、かたっぱしからベストセラーを追っかけるのは不可能かつ無意味だ。

無限に近い物量の中から、限られた一冊を選択するには、必ず何かの示唆、きっかけが存在する。それは「書評」であったり、「口コミ」であったりするわけだが、単に「面白い」と評されるだけで読む気になることは、まず無い。「何が」面白いのか、その本の内容をある程度知ってこそ、あるいはその本の中身を推理する何らかの情報を得て、もしくはその本に間接的な関心を持つことによって始めて、読む気になるのだ。

要するに、何の予備知識も無しで本を一冊読むなどということは、異常な事態だ。

そこで、作戦の必要性が生じる。

<1>
場所任せ作戦
方法A:図書館の新刊書コーナーの特定の場所(例:上段右から3番目等)に置かれた本を、必ず読む。
方法B:特定の書店の特定の場所で…

※上記方法は、実際続けるには意外にめんどうである。定期的に図書館へ行くという行為はかなり「重い」意識的な習慣である。ましてや、特定の場所の本を借り続けるというのは、更に強烈な自己抑制能力と堅い意思を必要とする。
不定期に、思いついた本を借りることの気楽さと楽しさを思うと、上記作戦は、図書館へ行くことが、ある種拷問と化しかねない。
図書館を書店と置き換えたところで、事態は同様であろう…。

<2>
人任せ作戦
信頼できる誰かに本を選んでもらう。

※人任せはいやである。たまにはいいけど…

<3>
借りる本、買う本の右隣の本も無条件に買う。
…効率悪すぎな気が…。

というわけで、どうも、うまい作戦がない。

「MP全冊読破」という現在の方法は、NYのミステリアス・プレス社と、ハヤカワ書房という二重のフィルターが存在するものの、選者は複数いるので、特定個人に頼っているわけではないという「いいわけ」が機能する。尚且つ、前提として好きなジャンル=ミステリの本であるところも良い。

で、ほとんど「何の予備知識も無しで、本を1冊楽しむ」ことができるのだ。

まあ、がっかりすることもあるが、嬉しい驚きの方が記憶に残るので、結果オーライである。
なにより、単純かつ簡単な方法でありながら、思わぬ作品(最近のミステリの傾向として、ドラマの舞台や主人公が異色であることが多い)を読むことが出来る点、今のところより良い代案が思いつかない。

※ が、2001年1月、ミステリアス・プレス文庫は、突然休刊となったまま既に1年が過ぎた…。

MP
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