たしか1990年代前半ごろ、「桑の葉」「いしうす」「かまきり」といった韓国のソフト・ポルノがビデオレンタル店で流行ったことがあります。
ポルノといってもその描写は日活ロマンポルノよりもおとなしく、内容も韓国の因習をネタにした真面目なものやコメディだったりして、日本や米国のアダルト・ビデオを期待した人には、どこがポルノやねん!という作品ばかりです。それでも、当時は近くて遠いお隣の国、韓国のポルノが?!と半ば勘違いした男どもの期待と好奇心を煽って、ビデオ・レンタルでは見事にヒットしました。でも所詮は勘違い。あっという間にブームは去ってしまいましたがな。
しかし、今となってはそれはそれで「韓国」のソフトが日本の市場に入るきっかけになったような気がします。たしかにあの頃から、たいへん地味な形ではあるものの、アート系の単館系劇場では、中国映画に続いて韓国映画も紹介されるようになりました。20世紀末には映画「シュリ」も大ヒット、21世紀にはついにテレビの世界でも「冬のソナタ」などが大ヒットとなりました。
ところが、そんな認識で日々暮らしていた私は、実のところここ最近の韓国映画を1本も見てませんでした。地味な文芸映画とソフト・エロのイメージばかりが先行していたうえに、テレビで流行りの少女マンガぽいドラマは、見もせずに拒否反応起こしてたわけです。
ところが、今朝、ついに見てしまいましたよ「JSA 共同警備区域」。
すみません、2年間も見逃してた自分を恥ずかしく思いました、マジで。むちゃくちゃ面白かったです。物語前半では、類型的な人物描写やシチュエーションじゃのうなどと、傲慢にタカをくくっておりましたが、いつのまにやらひきこまれ、怒涛の後半はもちろん、映画のラストでは泣いてました…。情容赦無い結末には、昨今憶えの無いほど感動しました。歴戦の勇士なのにいまだに最前線で一兵卒な男、根はお人よしのお調子者、真面目だけど所詮は第三者な異邦人、すべてのキャラ設定が見事なまでの伏線となって映画のラストでは大炸裂してます。まさに傑作。エルロイ・ファンはもちろん、バーホーベン・ファンもあれなら納得だろう!てな具合のハード・ボイルドな展開に涙無くして見られませんですよ、カムサハムニダ。
というわけで本日以降「いやあ韓国映画って面白ですね~」というセリフを、おつきあいでなく、口にできるようになりました。日韓親善マンセ~。