ふるさとは貧民窟(スラム)なりき
小板橋二郎 ちくま文庫 740円+税 2004/8/10 第1刷発行
日米開戦の昭和16年(1941)前後から終戦後の20年代中盤まで
東京板橋区岩の坂で暮らした生活を綴った自伝。
ハギワラ、石福のおっちゃん、ふがふがのおばさん、アウトロウのユキちゃん、
ベン・シャーンの少年、ポン中のマアちゃん、パンパンのクミコ…
等など実話ならではの人物が印象深い。
ハギワラと石福のおっちゃんのエピソードは壮絶だ。
「スラムの住人のほとんどはその一生をスラムのなかですごすことはない」
「スラムは病院のようなものだ」
スラムに対する類型的な即断を許せない
著者の主張は深く、尚且つ明るい。