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サバイバー

[ book ]


チャック・パラニューク
池田真紀子 訳 ハヤカワ文庫 ¥800+税 2005/2/15発行

あんまり期待せずに読み出したら、面白かった。

章立て、ノンブルが逆になっていて、第47章427ページからスタート。最後は1ページで終わるという仕掛けからは、ナレーションのカウントダウンが強烈なラース・フォン・トリアーの傑作「ヨーロッパ」を連想していた。ただただ周囲の状況に巻き込まれる善意の愚鈍な人が、最悪な決断に突き進む「ヨーロッパ」の主人公と同様、「サバイバー」の主人公も基本は生真面目な凡人だ。

「ヨーロッパ」は、政治に無知な善意の米国人が、終戦直後の陰謀渦巻くドイツで翻弄される話だ。「サバイバー」はカルト教団で育った主人公が、現代の消費文化全盛な米国社会で翻弄される話。「サバイバー」の主人公は「ヨーロッパ」の主人公よりもずっと孤独で痛々しい。が、どちらもパラニューク自身が言うとおり(文庫の解説参照)「孤独な人間が他人とどうにかしてつながりあおうとする話」だ。

カルト教団で育った主人公が、マーケティングの力でメディア教祖と化す中盤の描写が面白い。カルト教団よりも、一般社会のほうが異常さ比べではずっと悪辣でハイレベルな様子が逆照射されるストーリーは、お約束とはいえ見事。

「ファイト・クラブ」は好きな映画だけど、原作はまだ読んでなかった。
こんど読もうっと。

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2005年03月03日 00:29に投稿されたエントリーのページです。

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