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昭和の劇 映画脚本家笠原和夫

[ book ]

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笠原和夫、荒井晴彦、スガ[糸圭]秀美
㈱太田出版 ¥4,286+税(借りたので¥0)
2002/11/06 第1版第1刷
2003/03/06 第1版第3刷

いやあ、おもしろい。
笠原史観の昭和史でもある。

私の「焼跡」
笠原和夫 年譜 【昭和二年-昭和二九年】
第一部 ひばり映画と時代劇
 デビューするまで
 美空ひばりと時代劇スター
 マキノ雅広との出会い

だからそこで合うわけですよ。つまり妄想患者の妄想を書いて、常用者同士で盛りあがったというだけの話でね(笑)。本当は「いいホン」でもなんでもないんだよ

 リアリズム時代劇
『いれずみ決死隊』シナリオ
笠原和夫アルバム
第二部 やくざ映画の時代
 やくざ映画の黎明期
 やくざ映画のスタイル
 身体障害者と不能者
いやあ、考えてみれば、僕はずっと不能者の映画を書いてきたんだな。何だか儚いなあ…何のために映画をやってきたのかなあ

 やくざ映画の女と、人間の腐臭
 傑作『博奕打ち 総長賭博』
 テロリズム礼賛 『日本暗殺秘録』
そう、つまり絶対的な貧困なんですよ。努力して何かすれば、もう少しいい生活が送れるとというものじゃないんですよ、上に天皇制がある以上は!天皇制があって軍隊があって、軍隊に徴兵されちゃえば何もかも全部パアになっちゃう。そういうものがズシーンとのしかかっている中での貧乏というのは、そう呼んでいいのかわからないけれども絶対的貧困なんですよ。これが今の人にはわからない。

飢えと迷妄の中で夢見る 『戒厳令』評
 藤純子とやくざ映画の衰退
『仁義なき戦い』の三〇〇日
第三部 『仁義なき戦い』と実録路線
 広島やくざ戦争 『仁義なき戦い』四部作
『仁義なき戦い』で、やくざ映画が終わっていればよかったんですけどね

 特別攻撃隊 『海軍特別攻撃隊』『ああ決戦航空隊』
 日本共産党 『実録・共産党』
 警察 『県警対組織暴力』
 総会屋・沖縄やくざ戦争 『暴力金脈』『沖縄進撃作戦』
 在日朝鮮人 『やくざの墓場 くちなしの花』
 虚構の崩壊 『人生劇場』『西鶴一代男』『真田幸村の謀略』
笠原和夫アルバム
第四部 戦争映画と天皇
 日露戦争 『二百三高地』『日本海大海戦海ゆかば』
 太平洋戦争 『大日本帝国』『零戦燃ゆ』『昭和の天皇』
ただ、これをやってる時、天尾プロデューサーは非常に不満だったんですね。それで飲み屋で大喧嘩になったことがあるんですけど、天尾としては、天皇陛下のために戦って死んでいく純粋さというものをもっと書きこんでもらわないと、こういう映画はヒットしないということを言うんだね。でも、それはお前は戦争へ行っていないからそういうことを言えるんであって、俺は実際、戦争に行ってね、二言目には「天皇陛下のために」とぶん殴られたんだから、「天皇陛下のために」なんて簡単に言えないって言ったんだよ。彼は生まれは戦前だけど、戦後っ子だから軍隊の経験もないしね。考えてみるとあの世代というのは非常に右翼的なんですよね

戦争映画ノート
 『大日本帝国』私の主題
 戦争ドラマの勧め
 今、が嫌い
第五部 日本映画界の衰退
 映画界の変質・プロデューサーの不在 『愛・旅立ち』『三国志』『玄海つれづれ節』『天山を越えて』他
 女郎とパンパン 『吉原炎上』『肉体の門』
 描けなかった二・二六事件 『226』
 幕末とブルジョワ革命 『浪人街』『動天』『福沢諭吉』
 戦後と占領 『仰げば尊し』『吉田茂』
まあ、今日本が混乱していて、やれ教育だ、日の丸だ、君が代だ、と言ってるけれども、戦前に生まれて、戦中戦後を通して見てきた人間からすればね、もっと日本人の混乱は続くべきだと。  ~  そういう戦後六〇年間というのはほとんど遊びに等しいんであって、本当に日本人が人間として自立するためには、まだまだこの混乱は続くべきだと思うよ

笠原和夫 映画脚本リスト
著者付言
あとがき

About

2006年12月24日 18:42に投稿されたエントリーのページです。

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