レクイエム・フォー・ア・ドリーム
監督:Darren Aronofsky
主演:Ellen Burstyn Jared Leto Jennifer Connelly Marlon Wayans
102 min
ダニー・ボイル監督の新作SF sunshine 予告篇の音楽が耳から離れなくなってしまったので、つい某ウェアを使い、レクイエム…の本編動画をゲット!
字幕なしなので、薬関係の会話がようわからんかったけどおもしろかった。こんな話だとは思っていなかった。
とくにジェニファー・コネリー。すげえゃ。
ファウンテン も見なきゃ!
http://www.apple.com/trailers/wb/thefountain/
ピーター・グリーナウェイの ZOO でマイケル・ナイマンをはじめて聞いたときも、ミニマルなメロディが耳から離れなくなってしまって困ったけど、CLINT MANSELLとKRONOS QUARTETのコンビの名曲も強烈だ。
レクイエム…で描かれたエレン・バーンステインの洟垂らしと、反復電気ショックはたしかにショッキングでした。幻覚の中で自分の部屋がテレビのセットと化して、気がつけば聴衆に嘲笑されまくっているという幻覚シーンは、おそろしくも悲しい名シーンです。とはいえ、これらの描写はキャラクターがすでに正気を失っているさまを、正気の人間が丁寧に描写したきわめて論理的な絵面であって、目にした瞬間はひぇぇ~とは感じるものの、リンチの狂気描写のように心底「怖く」残るようなことはないです。
むしろ、半分正気のジェニファー・コネリーが「なんであたしこんなことやってんのかしら…」みたいな状況の真っ只中で、うつろな表情のまま×××されてしまうシーンのほうがぐっっときました。単にエロ要素にひっぱられただけなのかもしれませんがw
「カッコーの巣の上で」は狂気描写としても教科書的に有名なわけですが、正気の人間が論理的に描いた狂気の描写って、どんなに迫真の演技をされようとも、なんつうか覚めた目で見ている自分がいるわけです。ほんとの狂気ってそんなんじゃないでしょうに…って思っちゃうわけですよ。正気の人間の限界が透けて見えるわけです。
正気の人間にとっては、完全な狂気の描写ではなく、正気の演技の中にこそ狂気の表現が正しく立ち現われる!と、わたしはここに主張したいわけです。
たとえば、ヒストリー・オブ・バイオレンスの夫婦とか、ブルー・ベルベットのカップルとか!
まあ、そんなことを思いつつも、つい夢中になってしまう魅力的な映画でした。
ネットの感想文に多かったのは、「迫力はあるけど反麻薬映画として一本調子」といった感想ですが、そんなふうには見えませんでした。テレビ中毒、腐る腕、落ちる女、務所暮らしといった描写から受け取ったメッセージは、反麻薬といった下世話な啓蒙よりもずっと寓意的なものがたりでしたから。
夏、秋、冬と、3幕でバッサリ物語が終わるところも余韻が残ります。どう考えてもまともな春がくるとは思えんのですがね…w