IMAGICA 試写室
2008年2月公開
アレックス・コックスのシド&ナンシーも良かった。クソッたれなシドを描くには、あれでよかったのだと思う。
が、イアン・カーティスを描いた天才は、やることが一味も二味も違った。
徹底したリアリズムの追及は、原作がデボラ・カーティスの著書であることからくるだけではない。
淡々と描かれるイアンの軌跡。
ラストは誰もが周知の事実なわけで、いくら淡々と描かれてもアレなわけだが、それにしてもスゴイ。
アントン・コービンはデペッシュ・モードの耽美なPVが最高なのだが、やろうと思えばできたであろういろんなエフェクトは一切封印されている。
「私は音楽映画を作りたくないということだけは自分で分かっていました。目新しさがないからです。イギリスの人々から“ロック写真家”と呼ばれることにも辟易していました」
~最初に監督依頼をうけたコービンの心境~ パンフより
結果、映画はライブシーンや音楽業界の舞台裏も描きながら、「音楽映画」にはならなかった。これは凄いことだ。「オール・ザット・ジャズ」でも「シド&ナンシー」でも「ローズ」でも「ウディ・ガスリー わが心のふるさと」でもない、あたらしい映画の傑作だ。
どこまでもどん底に暗い映画のようだが、ニューオーダー好きなら、ピーター・フックの描写をはじめ、マネージャーやファクトリーの描写でいちいち笑わされるところで救われる。このギャグの混ざり具合がリアルですばらしいw
ヒット祈願!!!
>>PORTFOLIO No.37 Anton Corbijn
>>U2&i
>>anton corbijn a.somebody,strijen,holland