島本和彦
ヤングサンデーコミックス
小学館
2008/2/10 初版第1刷
2008/6/20 第4刷
¥514+税
全6章
熱血青春特別対談 庵野秀明×島本和彦 2008年1月収録
★★★☆
テラワロス
なんという同時代性・・・
そういえば「炎の転校生」(1983~1985)は、衝撃だった。
サンデーのライバル誌である「友情・努力・根性」のジャンプ路線をギャグにしているのだが、冷笑という正当wな手法をとらず、ポジティブ志向をどこまでも驀進させるギャグはパロディの笑いを越え、笑っていたはずの対象をむしろ全肯定せんばかりのド迫力だった。
短編なら同じアイデアもめずらしくはなかったろうが、長期連載という形で最初からギャグまんがとして徹底して描ききるという力技は衝撃だった。全力パロディとでも名づけたいその迫力は、あきらかに独自の路線だった。
さらに同時期、島本和彦と似て非なるもうひとりの天才が現われた。
安永航一郎だ。「県立地球防衛軍」(1983~)は島本の熱血に、「変態」というねじれが加わっていた。
島本の正統派熱血と、安永の変態性熱血。
シャープでカッコいい絵柄と、テレビ的な決めポーズ。絵柄もギャグの方向性もかぶっているようでまるで違う方向性だった2人の天才漫画家。「特撮・ヒーローもの」という当時でさえ揶揄の対象だったジャンルに対する偏愛っぷりをおおっぴらに語る開き直りは共通しているものの、島本と安永には大きな断絶があるような気がしてならない。
はからずも「熱血青春特別対談 庵野秀明×島本和彦」で、庵野と島本二人はメディア・ジャンキーであることを互いに吐露してもりあがっている。おそらく安永は、メディア・ジャンキーである自分を恥ずかしげもなく全肯定するような真似はすまい。なぜなら、安永には「まんが」「テレビ」といったマス・メディアの外部にある世界への志向性が、庵野や島本よりもずっと強いと思われるからだ。
そうだ。安永は、島本よりも ほりのぶゆき に近いような気がする。
まあ、そんなこんなはそれとして「アオイホノオ 1」はおもしろかった。2巻も買おう!
>>逆境ナイン