ポール・ヴァーホーヴェン監督の傑作「トータル・リコール」は、完成までに紆余曲折を経た。
大のディック・ファンのダン・オバノンが書き上げた脚本は、完成までにブルース・ベレスフォード監督やクローネンバーグらも関係したが、諸般の事情からヴァーホーヴェンのアクション大作として完成された。クローネンバーグはかなりの期間、このプロジェクトに関わったらしいが、プロデューサー側との相性が相容れなかったのだろう。もしクローネンバーグ版「トータル・リコール」が完成したなら、ヴィデオドロームぽい、より錯綜したホラー風味な作品になったに違いない。ベレスフォードや、クローネンバーグ版での主役はリチャード・ドレイファスだった(うろおぼえ)。