オーストラリア人の max barry 著。泊山梁、訳。竹書房文庫。¥638+税。
2004/01/05 朝読了。面白かった。面白かったけど…以下本文
ナイキ、マクドナルド、ペプシ、ミツイ…
全ての国家は企業の植民地となる!!政府は、もはや機能しない…。
これは『マトリックス』の方法で描いた、
過激な未来だ。
G.クルーニー&S.ソダバーグ映画化!!
ってのが本の帯だが、
オタク趣味なビジュアルと、ハッタリだけの映画『マトリックス』より
ずっとまともで知的な諷刺小説だ。
ただ、「過激」なのは最初の設定だけで、
キャラクターやストーリー展開は驚くほど「普通」だ。
つまらないわけじゃない。
ずんずん読めるし面白い。オチもうまい。
過激な物語の設定で実在の企業名を出しまくりなところは
文句無しに気持ちイイ。
が、読後感がスッキリさわやかなところが致命的だ。
ディストピアがさわやかでどうするョ?
R・ラッカーやK・W・ジーター、George Alec Effingerみたいな
ひねくれ具合が、いわば狂気が決定的に足りないのだ。
物語は、やっぱりキャラが暴走してくれないと面白くない。
要はキャラクターが物語を引っ張らないといかん、
フィクションだろうがノンフィクションだろうが関係ない。
キャラクターが「生きて」ないと、
どんなに素敵なストーリーだろうと記憶に残らんもんな。
映画化は難しいなあ…。
いっそのことブラック・コメディに徹して、
主役も男に変えてジム・キャリーに下品なギャグを連発してもらい、
監督もヴァーホーベンかリンチが担当してくれれば傑作になるだろうけど、
ジョージとスティーブンじゃ、あまりに頼りない…