The Dark Knight (2008)
監督：Christopher Nolan
出演：Christian Bale、Heath Ledger
渋谷シネパレス
★
だめだろ、これｗ
物語前半はおもしろい。
バットマンが金と技術力と身体を張ったゴリ押しで、外国へ逃げた犯罪者をゴッサムシティへ連れ戻してしまうシークエンスはすごい。ものすごい、なんというスケール感！これはたしかに箱庭でドタバタしていたティム・バートン版にはなかったリアリズムだ。しかもド迫力。
ヒース・レジャーは、ニコルソンよりも怖い。
ジョーカーは怖いし、バットマンのかっこよさは尋常ではない。
とはいえ、映画はだんだん失速していく。
役者バカ ヒース・レジャーは、策士ダニー・デビートの敵ではなかったｗ
後半はダメだ。
眠くなった。
くどいよ。
とくに酷かったのは、ゴッサムの一般人（白人リーマン）と囚人（黒人マッチョ）が対比される描写だ。すっかり部数の落ちたこども向けまんが雑誌だっていまどきやらないステレオタイプじゃねえか。それじゃサスペンスも糞もねえよ。バカバカしいにもほどがある。
さらに加えてラストの余計なオチは意味不明だ。孤独なヒーローを描きたい気持ちはわからないではないが、必要もない罪を勝手に自分でかぶっておいて悦にひたられても、なんじゃいそりゃ、でドン引きだ。お金持ちのブルースくんは、盗んだバイクで走り出したかったけど、どろぼうするなどという庶民レベルの愚考は思いもつかなかったので、ムダな罪をかぶって代償行為にふけりたかったのだろうか？
いいかげんにしてほしい。
つか、かんべんしてくれ。
リアルなゴッサムシティの住人は、期待の善玉が狂気に走ったところで「ああ、またかよ」と思うだけだ。バットマンのナニを知った日には「あのやろう、真性マゾのド変態だったのかよｗ」と笑いのネタにするだけだ。違うか？
重苦しいヒーローを成立させるために、わざわざ大衆を（おひとよしの）愚民の集まりとして描写する必要などない。さらさらない。つか、あってはならない。
なぜなら、私はゴッサムのその他大勢の住人のひとりだからだ。
わたしは、バットマンでもジョーカーでもない。
愚民の群れを描きたかったなら、いっそのことティム・バートンのようにミサイルを背負ったペンギンとして描写してしまったほうがよほどクレバーだ。むしろそれこそ、映画でしかできないリアリズムってやつだ。
「メメント」や「プレステージ」はおもしろかったのに…。残念。
追記：さらに加えるなら、バットマンは孤独ではない。アルフレッドとゴードンという味方（＝信者）が二人もいる。いったいどれだけ恵まれれば満足できるのだろう…。甘ったれるのもいいかげんにしてほしい。
おまえら全員「ダークマン」を１００回見直して出直せ！彼こそ真のヒーローだ。良心を鍛えろ！
