« 鬼放展 第二会場・東高円寺 | メイン | 731 ―石井四郎と細菌戦の闇を暴く― »

テレビは真実を報道したか-ヤラセの映像論

[ book ]

テレビは真実を報道したか-ヤラセの映像論
木村哲人
三一書房
1996/1/15 第1版第1刷
¥1,500(amazon ¥1,575:送料込)

★★★★

すばらしい。
タイトルからはテレビのヤラセを告発している暴露本かと誤解されそうだが、中身は「ヤラセ」というキーワードを軸にした映像論だ。エイゼンシュテインからレニ・リーフェンシュタール、亀井文夫から土本典昭、大島渚、ネッシーからサブリミナル、ドクター中松まで、本の射程は戦中の映画から「オウムの報道」まで幅広い。

はじめに
第一章 真実は演出で作られる
 「真実」を作る理論 : セルゲイ・エイゼンシュタイン
 皇室とヤラセ報道 : X作戦
 ヤラセの手本はアメリカだった : 映写講習会
 見え透いていた米国流ヤラセ : エドワード・R・マロー
 戦争と映像 : われらはなぜ戦うのか フランク・キャプラ
第二章 ヤラセの現場では
 記録映画はヤラセで始まった : エジソン ジャン・ルーシュ
 日本の撮影現場 : ドラマ派・ニュース派
 フィルムからビデオ、電子時代のヤラセ : 旧東ドイツが見た西ドイツのテレビ
 音のヤラセは許されるか? : シネマ・ヴェリテ
 ドキュメンタリーの音は進化する : エクレ-ル16
第三章 音響のヤラセ
 『インドネシアは叫ぶ』 : ヨリス・イヴェンス
 音は真実を記録できるか : リチャード・リーコック  ロバート・フラハティ 
 真実すぎるとウソになる : ジャン・ルーシュ
 インタビューがテレビを堕落させた : 田原総一朗 戸村一作 岸信介
第四章 名作はヤラセで作られた
 ヒトラーと女性監督 : アルバート・シュペール
 レニの甘い罠とヤラセ : 意思の勝利
 傑作の音はヤラセだった : オリンピア=民族の祭典、美の祭典
 世界公認のヤラセ映画 : 砂漠は生きている 世界残酷物語
第五章 嘘を弁護する学者たち
 映像を利用したオウム真理教 : 空中浮揚 アニメ
 サブリミナルのウソ : ジェイムス・ヴィカリー
 ヤラセが当然のテレビ番組 : デヴィット・ボーム ドクター中松
 私自身の事件 : 夢知らせ
 世界一のヤラセ事件、ネス湖の恐竜 : M・ウェザラル C・スパーリング ダグラス・バウアー デビッド・コーリー 大槻教授
第六章 禁止された映像
 日本のドキュメンタリー : 亀井文夫 「上海」「戦ふ兵隊」
 私とドキュメンタリー : 山本薩夫 松本俊夫「三〇〇トン・トレーラー(日経映画社1956)」 羽仁進 大島渚 土本典昭 野田真吉 西尾善介
 放送されなかったテレビ番組 : 牛山純一「ノン・フィクション劇場 南ベトナム海兵大隊戦記」
 またもや放送禁止 : 「ノン・フィクション劇場 職場復帰命令(1966/11/24)」
参考文献
あとがき

「(批評家は)極端にスナップへの迷信を持つようになる。歴史の一瞬間のスナップ、ここに映画の価値があるといった言い方をする人がいる。(略)撮影のためにもう一度現象を再現したのでは、価値のない虚構になってしまう、と考える。これは実写性への迷信である。ぼくらの仕事は現象の本質を正確に見極めることだ。次に対象を映画的に支配して、現実を歪めずに、注意深く再現する」映画評論 39年5月号 亀井文夫 ~本書158ページより

>>テロ爆弾の系譜―バクダン製造者の告白―

About

2008年09月28日 10:57に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「鬼放展 第二会場・東高円寺」です。

次の投稿は「731 ―石井四郎と細菌戦の闇を暴く―」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。