« IKKI 12月号 | メイン | 漂流教室 1 完全版 »

4分間のピアニスト

[ movie ]

監督:クリス・クラウス

銀座

なんだこれ・・・

<注意:以下、映画の結末を罵倒しています。「4分間…」を好きな人はただちに閲覧を中止してください。>

先週、ネットで予告をちら見して思わず大興奮した「4分間のピアニスト」だが、すっかり騙された気分で劇場を出るハメに・・・

これおもしろいといっていいのか?

キャラもストーリーも「予定調和」。いい意味でも悪い意味でも「よくできた少女マンガ」だ。いい意味も糞もないかもw 一番よくわからないのは、小さな娘を連れた看守のキャラだ。ただ主要キャラを引き立てるだけに登場したご奉仕キャラにしかみえない。廊下で銃をむけるシーンなんてどんなが意味あったんだ?ただ、そんな絵面がほしかっただけじゃないのか?

婆さんが受けたナチの恐怖と、破滅型天才(とっととry)ピアニストのトラウマとは、なんの関連もないうえに、なにもシンクロしない。ラストの4分間はそれだけ見れば感動的な演奏だが、「形式的なおかたい演奏会でフリーダムな演奏が炸裂」という、あまりといえばあんまりな、古臭くもナルシスティックなまんがにしか見えなかった。

しかも天才オジギ&先生笑顔のラストって、どうゆうことですか?

天才に半殺しにあったあわれな看守のバカ娘はおじぎができずに婆さん先生からピアノを教えてもらえないという描写があった。最後のおじぎで拍手&婆さん先生の笑顔、という結末を見ると、「天才は凡人を半殺しにしても演奏できればぜんぜんOK」「凡人は半殺しにされてピアノも教えてもらえないけどそれはとうぜんなのよ」「トラウマを持ってる人はなにしても感動」「逮捕されたって芸術は死なないわ」という、なんだか胸糞悪いメッセージをうけとったわたしは、根性が腐っているのだろうか。

まあ、腐ってるんだろう。m9(^Д^)プギャー

刑務所を舞台にした最高のフィクションといえば米国産傑作テレビ・シリーズ「OZ/オズ」。
もちろん音楽をテーマにしたエピソードだってある!

オマー・ホワイトのエピソードだ。
教師も生徒もどちらも、天才でもなんでもない。

教師と生徒は、殴りあったりもしなければ、辛い過去を告白しあったりもしない。
練習する曲は、どうってことない通俗的なつまらない流行歌にすぎない。
何も知らない観客の盛大な拍手なんかも、もらったりしない。

いや、たしかに「OZ/オズ」でも最後に拍手の嵐の描写はあったが、あの拍手は、画一的な「賞賛」の描写ではなかった。あの拍手には確実に「無理解」と「嘲笑」の拍手が混じっていた!

「誰もが感動する」なんてのは出来の悪いファンタジーに過ぎない。

さらにその後に続く苦い結末も忘れがたいものだ。「OZ/オズ」を全話見てしまえば、「4分間・・・」なんぞは大甘のメロドラマでしかない。断じてアートなんかではない。胸糞悪いシロモノだ。

ああ、トム・フォンタナは偉大だ。
 
>>ひねくれ者と呼んでくれ 「4分間のピアニスト」:他の格闘技やって下さい
※これは同意せざるをえないw

About

2007年11月12日 23:37に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「IKKI 12月号」です。

次の投稿は「漂流教室 1 完全版」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。