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カーズ

[ movie ]

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cars
監督:John Lasseter、Joe Ranft
出演:Owen Wilson、Paul Newman
2006

ルート66 ★★★

主役であるレース・カーのキャラに魅力がない。
おかげで結末の説教が、いつものようにうまく機能せずに脱力。

ハッピー・フィートのほうが断然すばらしい。

主役の名前がマックイーンなのに、本家の魅力に遠くおよばないのが情けない。
アニメのキャラが名前負けしているのは、どうかと思う。おかげで若いキャラのマックイーン(Owen Wilson)と老体ポール・ニューマン(声)の共演も、おまえなんかマックイーンじゃねえだろ!という無駄な違和感ばかり感じてしまい最後までノレない原因になった。

ピクサーは「カーズ」だけ劇場公開を見逃してしまい後悔していたが、そもそも後悔する必要もない後悔だった。結局やっぱり後悔した。
DVDおまけのメイキングも見たが、さらに気持ち悪くなる。映画のストーリーに取材が生かされてないのではないか。レースの話と、幹線道路の開発で取り残された町の話とが、映画に占める質量ともにうまくかみあっていない。というよりも、今回の話は、実質の主役は田舎町なのに、ストーリー上は引立て役でしかないレーシングカー(レースの世界に生きるキャラ)を主役にしてしまったことが、そもそも失敗だったのではないか。そういやあ、ヒロインのキャラも魅力なかった。だいたい田舎町を代表するトラックキャラの楽しみが、夜中に牧場で眠るトラクター(牛)を驚かせることなんでさあ!みたいな描写も、都会もんが田舎もんを見下してるだけのような思考停止っぽい視線を感じる不愉快シーンだ。

ラストの瞬間、敵役をのぞくすべてのキャラ(観客、スポンサー、ピット・クルーほか)が全員、主役を肯定するための道具と化してしまうのも、いやだ。脚本が安直すぎる。

思えばトイ・ストーリーのラストは、登場する2人のキャラが最後の最後までぶつかりあっていた。カーズには、「ストーリー」に緊張感が欠落している。

まるでピクサーは、かつてのハングリー精神を忘れてしまったかのようだ。次回作が「レミーのおいしいレストラン」というのもちょっと心配だ。緊張感を失っただけでなく、衣食足りておフランスのグルメにでも走ってしまったのだろうか?

このままではピクサーの未来は暗いぞ。


>>Mr.インクレディブル
>>ファインディング・ニモ

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2007年04月28日 23:04に投稿されたエントリーのページです。

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